引っ越しの時の、お湯が出ない!コンロがない!などの一連のドタバタ問題はひと段落。じゅうたんやソファも入り、やっと家が落ち着いてきた。
今回、トラブルがあまりにひどかったので、問題が解決するまでの賃料分を返却する要求を英文2枚にまとめ、大家代理の弁護士へのリクエストとして不動産屋に送った。
そして、不動産屋のお姉さんにも交渉に協力してもらい、トラブル時期の賃料ははなしにして、契約日を遅らせることでけりがついた。
つくづく疲れたけど、言い分も認められ、まあいっか、って感じ。
そして、一難去ったらまた一難。
今度はムスメが体調を崩し、学校を休みがちになってしまった。
10月第2週の火曜朝。起きるとおなか痛い、頭が痛いと言って、朝から絶不調。
じゃあ、朝は休んで元気になったら行こうか、と言って家でのんびり過ごしてみた。
けど、結局元気にならず初の学校1日お休み。
ちょっと下痢気味で調子が悪そうだけど、熱は37度にも行かず、家で過ごしている分にはきつくなさそう。
で、その次の日はがんばって行ったけど、結局調子が悪くなり昼前に保健室からの電話で迎えに行くことに。
気候が涼しくなり、ほかにも何人か体調を崩している人がいると先生に聞き、ひと安心。
結局そのまま連れて帰り、また家でのんびりすることに。
そこからが長かった。
結局、その週はそれっきり学校には行けなくなった。
金曜午後に家に来る予定の日本人女の子の友達も断り、毎日家で過ごす。
昼間はパジャマのままYutubeやゲームをやり、食事もおなかにやさしいうどんやらソーメンやらをそこそこ食べて元気そう。
気分転換にと秋用の洋服を買いに行ったりする。
だけど、次の日の朝になるとまたおなかが痛いと言ったり、気持ち悪いと言ったり。
体調は悪そうだけど、どうもそれだけじゃない感じ。
行きたい気持ちになれないような、体が行こうとしていないような、そんな感じ。
こちらに来てから今まで、体調を崩していなかったのはムスメと僕だけ。
ムスコは来る前日から激しい腹痛で、飛行機の中でも苦しんだ。妻は、来て3週間ほどでダウン。
元気だったムスメは、1か月半学校に一生懸命通い、頑張ってきた。
生真面目なタイプで遅刻を嫌い、学校も嫌がらずに通っていた。
同じクラスに日本人がいるムスコに比べて、クラスに日本人はいない。
学校の日本人は男子だけで、まだ楽しく遊んだり話をできる仲間は学校に一人もいない。
学校から帰ると外に出たがらず、自分の着るものも買ってきてほしい、と言う始末。
外に出かけても、道を歩きながら、おしっこみたいなにおいがする、うんちみたいなのが落ちている、といろいろ気にする。
学校のランチも、お肉が臭い、とか、パスタのソースの頼み方が分からなかった、とか言って、十分食べて来ない日も多かった。
兄とのけんかは日本にいるときから日常茶飯事だったけど、ここ最近は、怒りが激しくなって、一度スイッチが入ると、聞く耳も持たず怒りまくり、そのあと泣いてふさぎ込む。
疲れが出たかなあ。ちょっと糸が切れたかなあ。そんな感じがする。
普段、お風呂にゆっくり一緒に入っている時や、寝る前に肌の薬を塗ってあげるときに、少しずつ話はするけど、実は本音を話し切れていなかったみたい。
今回体が弱ってきてから、ぽつりぽつりと正直に弱音を吐くようになってきた。
「休み時間が嫌なんだよね。何をやってるか分かんなくて、とりあえずついて行ったりしていているけど、面白くないんだよね。」「日本に帰りたいなあ。」
こっちも、とりあえず「そっか、そっか」と聞く。
休み時間が嫌、という感覚は自分の留学中を考えてもよーく分かる。
授業中はとりあえず座っていればいい。
でも、休み時間は、仲間がいないと寂しい。でも話せないとほかの人の仲間に入ることもなかなかできない。
担任やアシスタントの先生に相談すると、「まあ3,4か月かかるけど、みんな慣れてくるわ。百は頑張っているわよ。焦らないで。」と言われる。
同じ学校に通う子供のお母さんたちに話すと、「そうよね、学校に行くだけで大変だから、元気に通うだけで褒めてあげるしかないわよね。」とアドバイスをもらう。
慣れるには英語を勉強したほうがいいし、外に出かけたりして刺激を受けたほうが良いだろうけど、疲れているなら、学校以外は自由に日本の世界にひたらせてあげる方がいい。
もっともっと、となりがちだけど、きっと寄り添ってゆっくりエネルギーや好奇心が自ら湧いてくるのを待ったほうがいいんだろうなあ、といろいろ相談しながら思った。
まあ、学校に行かなくなったら自分で教えてもいいし、自分たちだけ日本に帰る選択肢だってあるし、と思えば、何が何でも行かせなくっちゃ、と思わないで済む。
そのくらいの余裕で対応したほうがいいのかな、と思ったりする。
土曜には少し元気になり、家族4人で近くにあるJerusalem Hotelまで歩いていき、ゆったりとランチ。
次の日曜ものんびり過ごし、お腹も頭も大丈夫そう。
学校の始まる月曜はどうかなあ、と朝起きて様子を見ていると、着替えたくなさそうにしている。
でも、体調は大丈夫そうだしちゃんと起きてきているので、さりげなく急かすと準備を始める。
そして無事学校に行き、問題なく授業終わりまでいた。
これでやっと学校に行くようにはなったな、と一安心。
ところが、そうはいかなかった。
火曜の朝起きたとたんに、また気持ちが悪いと言いだし、休みたそうにアピールしてきた。
うーーん。またかとがっくり。
ムスコは「あれは演技っぽい」、とか言う。
さあ、どうしようか?
行けば案外大丈夫かもしれないし、このままムスメの気持ちに引っ張られているとずっと行かなくなりかねない。
昨日も行けたんだし、強引に連れて行くということも考えたけど、まあ慌てることはない、行きたい気持ちにならなければ無理して行かせても良くないだろうと思い直す。
結局、ムスメの気持ちを優先することにして、どうしたいか聞くと、「休みたい」、と言う。
「じゃあ、そうしよっか」、と言ってお休み決定。
ただ、このまままた休み続けちゃうのも困るし、実際体調も気になるので、休む代わりに翌日病院に行くことを約束する。
そして、英語で対応してくれておすすめと日本人から教えてもらっていたFamily Medical Centerというところに電話して、翌日の予約を入れる。
次の日も休んで、二人で病院に行った。
大きなビルのワンフロアーにある病院の入り口で受付をすると、保険の有無や電話番号を聞かれ、パスポートコピーを見せて、診察を待つ。
ムスメは何をされるのか心配している。
呼ばれて、2人で歩いていくと、女性の優しそうな中年のドクターがいた。
部屋には子供向けの絵などが飾ってあり、どうも小児科専門の先生っぽい。
ゆっくりした英語で話す穏やかな人で、ムスメも安心。
症状を話し、のどを見せ、お腹を触れられたりして、すぐに診察終了。
「特段の感染とかの問題はないわね。しばらくすれば治るわ。食べたくないときには無理して食べずに、お腹にやさしいものを食べてね。」
何か念のため薬はもらえないの?と聞くと、下痢止めの薬を処方され、念のため買っていく。
ムスメは、「優しい先生でよかった」とほっとしたように言う。
診てもらって、気持ち的にも安心したならいいなあ、と思う。
次の朝、ちょっとぐずっていたし、朝ごはんもそれほど食べなかったけど、2日ぶりの学校に行く。
朝に時間がかかり、ちょっと授業開始に遅れたけど、「遅れてもいいよ、病気だったんだから行くだけでいいよ」、と言い聞かせる。
すでに始まった教室に入るところまで見送ったけど、大丈夫そう。
保健室から連絡もなく、帰りの迎えに行くと、いつものように待っているムスメがいた。
「どうだった?」、と聞くと、「休み時間にみんなで側転をやっていて、自分もやらされて、苦手だから嫌がっていたら教えてくれた」、と話してきた。なんかよく分からないけど、いつも以上に周りがかまってくれたみたいで、うれしそうに話していたので良かった。
そして、翌日も、今日は金曜で終わるのが早いから、と促し、無事学校に。
その日は、迎えに行くと、クラスで一番いろいろ話しかけてくれる女の子がそばにいたので声をかけると、お母さんを紹介してくれた。
クラスの女子の親と仲良くなって、学校のあとに遊んだりできるといいなあ、とちょうど思っていたので、「連絡先を交換させてほしい」とお願いすると、向こうから、今度家にムスメを呼んでくれると誘ってくれた。
なんとありがたいお誘い。ぜひ!とお願いすると、早速連絡が来て、翌週の木曜に遊びに行くことに決まった。
こうやって、少しづつ仲良くなり、つながりができてくればいいし、そこのサポートは親が意識的にしないといけないんだなあ、と思った。
実はもうじきムスメの誕生日が来る。
このインターナショナルスクールでは、誕生日の子が学校にみんなの分のカップケーキを持って行って配ったり、家に呼んでパーティをしたりするらしい。
誕生日も何か関係づくりのきっかけにできないかなあ、と考えているところ。
結局振り返ると5日間休んで、一日早退しただけだけど、ずいぶん長いトンネルだったように感じる。この先、まだどうなるか分からないけど、とりあえず一旦は抜けたかなあ、と思う。
1週間ぐらいでこれだけいろいろ思うんだから、学校に行かなくなった子供をもつ親は大変だろうな、と思う。
そして、生きる楽しみとしての食事も大事だなあ、と思う。
とりあえず、元気に食べてくれていれば安心だし、あれ食べたい、これおいしい、という気持ちがあれば、次につながる気がする。
実は、ムスメ以外にも、いろいろ病院にお世話になったこの2週間だった。
まずムスコが体育の時間のバスケットボールで右手の指を2本も骨折した。
両方、関節のところの端っこが欠けるように折れた小さな骨折。
保健室から紹介された接骨医のようなところに行き、レントンゲンをとり、固定して包帯を巻いてもらった。
1週間ほどたち、もうだいぶ良くなってきた。
そして僕も歯が痛くなって、歯医者に行った。
これまた日本人紹介の歯医者でオーストラリア人の英語を話す先生に診てもらった。
歯肉の感染で抗生物質をもらって飲んだら治った。
これで落ち着いてくれればいいな。