エルサレムで主夫はじめました

~~~~~~~~ 30年間のサラリーマン生活から早期退職をして、イスラエルのエルサレムに家族で住み、主夫をはじめました。 ~~~~~~~~~~~~~~インターナショナルスクールに通う子供たちの様子、イスラエルとパレスチナの日常、主夫の心境などをつづります。 内藤 徹~~~~~

#12 高熱を乗り越え、うどん&折り紙のお誕生パーティ決行

ムスメの誕生日の週になった。

当日の水曜は手作りのカップケーキを学校で配り、金曜は学校帰りに子供たちを呼んで我が家で誕生パーティ。

それなのに、なんと月曜の朝からまたムスメの体調が悪くなり学校を休むことになった。

あー、せめてカップケーキを持っていく日には行きたいよね、と思うけど、焦っちゃいけないとも思う。

とりあえず、カップケーキと一緒にみんなに配る折り紙を二人で作ることにする。

かんたんにできるのがいいね、とネットで探し、ハロウィンのかぼちゃを作ることにする。

顔の絵を一つずつ変えたりして楽しむ。

これも、話のきっかけになればいいなあ、と思いながら。

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そして誕生日の前日も、またムスメは調子が出ず、学校に行かず家で過ごすことに。

その日の昼はエルサレム在住カープファン2人がやってきて、Webで契約した日本のテレビ放映サイトで一緒に日本シリーズ観戦。

ムスコも学校が終わってから、観戦に合流。

残念ながら、今日は負けてしまい、11敗1分けに。

 

ちょうど観戦に来た女性がお菓子作りが好きで、材料を売っているお店も知っているよ、ということで、夕方にケーキのデコレーション用の材料をムスメも一緒に買いに行く。

そして、7時過ぎになり妻が帰り、一緒にケーキを作る作業が始まる。

僕はお菓子作りをしたことないので、女性陣にすべてお任せ。

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材料のパッケージがヘブライ語で良く分からず、妻が試しに2度作っていて、味はほぼ問題なし。

できるだけ派手なほうがいい、と聞いていたので、買ってきたデコレーションペンや湯煎したチョコを使って一個ずつ違う模様を描いていく。

お菓子作り好きの助けを借りて、飾りつけのレベルがぐっとアップ。

ムスメも楽しいお菓子作りに興奮。

そして、夜11時、今まで作ったこともない、22個の派手派手なカップケーキが完成した。

 

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そして、誕生日当日の1031日。

朝起きると、今日はムスメは学校に行くという。

そこで、カップケーキと折り紙の入った袋を抱えてムスコと3人で久しぶりに学校に行く。

教室に行き、先生に袋を渡すと、クラスの子たちが集まってムスメに声をかけてきた。

ベルが鳴り、授業が始まる。

外から教室の様子を覗いていると、アシスタントの先生が気づいて、扉を開けて見せてくれる。

ムスメが前に座り、みんなでハッピーバースデイの歌を歌っている。

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「いつもいろんな国の言葉で歌ってお祝いするんですよ」、と説明された。

ケーキを作って、一緒に来れてよかったな、としみじみ。

 

でも、結局その日も保健室から連絡があり、途中でおなかが痛いとのことで、早退。

やっぱり、まだ調子悪いんだなあ。

まあ、楽しく学校でお祝いできたから良かった。

 

家に帰り、お気に入りのあったかいソーメンを食べると少しずつ元気になる。

夕方になり「今日は誕生日だから、お祝いのケーキを買いに行かない?」と誘うと、のってきた。

歩いて5分ほどの小洒落たカフェに行き、ムスメが誕生日だと伝えると、いくつなの、どこから来たの、コートがかわいいねと、店員がとてもフレンドリーに話しかけてくれる。

好きなケーキを選ばせると、日本の3倍ぐらいの値段がして茫然としたが、黙っていた。

夜は、ムスメの希望で日本から持ってきて大事にとっておいた中華三昧2種を解禁。

家族4人で、旨い旨いと言いながら食べる。そして買ってきたケーキで誕生日のお祝いをした。

 

翌日の11月1日は誕生パーティ開催の前日。

今日は学校はどうかな、と様子をうかがうと、どうもダメそう。

あくまでムスメのペースに任せ、そのうち調子よくなったら行こうね、と話す。

学校のご飯があまり好きじゃないというので、今月からお弁当に切り替えた。でも、はりきって作ったお弁当は持って行かれることなく、テーブルの上に置かれたまま。まあ、いいか。

 

とりあえず明日の準備ということで、近所の駐妻友達にうどん茹で用のおおきななべを貸してもらいに行く。

誕生ケーキはどこで買えばいいか尋ねると、これから一緒に買い物行くので教えますよと。

ありがたくのって、ケーキ屋を見に行く。

 

道中、子供の様子を話すと、

「実はパーティも本当はムスメさん、やりたくないってことはないですかね?親がやりたい気持ちを察して、やりたいと言ってるだけかもしれないですよ。分からないけど。」と、ドキッとするようなことを言われる。

そこまで考えなかったなあ、と振り返って考えてみる。

 

そういえば、パーティをやろうかと持ちかけた時は、本人からもやりたいと言ってきた。

けど、その数日後の学校帰りに、急に「パーティでみんなが自分以外の人同士だけで遊んじゃったらどうしよう」と言い、突然道路で泣き出したことがあった。

本人なりに不安もあるみたい。どうなんだろう?

でも、友達の家に遊びに行ったのも喜んでいたし、みんなと仲良く遊びたい気持ちがあるのは確実。

やりたくないんじゃなくて、やりたいし、楽しく過ごしたいけど、ただ不安なだけ。

なら、できる限りの不安をなくさせてあげて、あとは当日を楽しく過ごせるようにすればいい。

 

クラスメイトの親から、ムスメが休んでいるけど、明日のパーティは予定通りやるのか、とメールが来る。

「ムスメは休んでいるけど、みんなに会いたがっているので、明日は予定通りやります。僕らがお子さんを学校から家に連れて行きます。」と来てくれるクラスメイトの親全員に改めて連絡をする。

 

夕方には、元気になったムスメと一緒にケーキやろうそくを買いに出かける。

勧められたケーキ屋には、おいしそうなホールケーキがたくさん。

ろうそくや紙皿も自分で好きなものを選ばせると、あれがいい、これがいい、とだんだんイメージが出てきて、テンションが上がってくる。

やっぱりやりたかったんだよね、やることにしてよかったよね、と安心する。

 

久々の外出で疲れたのか、家に帰って夕食の準備をしていると、ソファでうとうととしている。

夕食ができて起こすと、頭がすごく痛いと言う。

おでこを触るとすごい熱。

あわてて体温計で測ると、なんと383分。とほほ。

 

これまでずっと調子悪いと言ってきたけど、熱は37度を超えることはなかった。

だから、気持ち的なものが大きいと思ってきた。

でも、こんなに熱が出るのは完全に体の不調。きついよね。

あー、クラスメイトの女の子6人には、さっきリマインドのメールをしたばかり。

同じ学校に通う日本人にも声をかけて、みんな来てくれると言ってくれた。

どうしよう?

今さら延期も迷惑だろうし、最悪本人が少し顔を出すだけでも、決行するしかないよな。

 

あわてて解熱剤を探したけど、子供に安心して飲ませられる薬はない。

ともかくお茶を飲ませて、濡れたタオルを当てて寝かすぐらいしかすべもなく。

どうにか一晩やり過ごして、明日の朝に病院に行くしかない。

 

翌朝、熱を測るとなんと399分の高熱。

「頭が痛い。でも、学校に行きたい。」こんな時に限って、そんなことを言う。

どう考えても無理。休みは決定。

パーティも来てもらうのももう変更はできない。

あとは、ムスメが顔を出せるか。どこまで参加できるか。

 

まずはムスコと学校に行き、ムスメの担任に会い、今日は休むけど予定通りパーティをすることを伝える。

帰ってきて、この間ムスメと行った病院に電話をすると、9時までにくれば診てくれると。

ラッキー。あわてて準備をして、タクシーでかけつける。

間に合ったけど、混んでいてなかなか順番が回ってこない。

ムスメはぐったりして、「もう限界」と言う。どうにかなだめてやり過ごす。

 

やっと呼ばれて、この間と同じ女の先生に診てもらう。

血液検査をするということで、別の場所に行き検査をし、また待たされる。

出た結果をもって、先生のところに戻ると、

「ウイルス性の風邪ですね。解熱剤を下の薬局で買って行ってください。あとは、たくさん水分をとってくださいね。」と言われる。

 

薬局でイブプロフェンという解熱の薬を買い、あわてて家に帰ると、もうパーティ開始2時間前の11時過ぎ。

薬を飲ませると、5分ぐらいでスーッと効くみたいで、熱が下がり、けろっと元気になった。

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ほかの子に移らないように気を付けないといけないけど、この様子ならパーティもいけるかも。

 

ともかく、大急ぎでばたばたとパーティの準備をする。

妻は日本人向けのおつまみメニューを、僕は、モスリム向けのみりんと料理酒を使っていない麺つゆと、しょうゆが苦手な人用のトマト味の麺つゆを作る。

 

学校終わる時間が近づいたので、クラスの女の子と日本人の子供たちを迎えに行く。

クラスメイトで顔が分かるのは2、3人。名前を確認して出発。

女子6人は、嬉しそうにキャッキャして、帰り道も大騒ぎ。

笑っちゃうくらいにぎやかで、無邪気でかわいい。

日本人男子生徒もたじたじ。

あー、なんか楽しそうだな、と見てるだけで愉快になってくる。

でも、確かにしゃべるのが早くて、何言ってるのかよく分からないし、このノリにムスメがついていくのは大変かも、と思う。

「休み時間、何しているか分からないけど、とりあえず着いていってる」、と言っていたムスメの様子が目に浮かぶ。

 

家に着くと、待っていたムスメのところにクラスの女子が大丈夫、おめでとう、と集まっていく。

あらかじめ、風邪がうつらないようにハグをしたり触ったりしないようにね、と伝えていたので、少し遠慮がちに、みな持ってきたプレゼントを交代交代に渡していく。

またたく間に、たくさんのプレゼントが集まっていく。

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パーティの予定は2時間半。最初に折り紙などをして遊び、その後にうどん打ちの体験と試食、そして誕生ケーキを食べておしまい、という予定。

あらかじめ、こちらのパーティはきっちり時間で終わり、親がお迎えにやってくるのが基本と聞き、クラスの女子は先に返した後で、日本人だけでゆっくり引き続きうどんを楽しむことにした。

 

プレゼント渡しもひと段落したところで、折り紙をやろうと声をかける。

誕生日に配ったハロウィンの折り紙をムスメが教えてあげて、一緒に作ろうとするが、みんなうまく折れない。

面倒くさくなって早々に投げ出す子もいる。

手伝ってあげてどうにか折ってあげると、思い思いに顔の絵を描いていく。

 

世界を旅するうどん屋の谷村さんが到着して、うどん作りを開始する。

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みんなの前で説明を始めると、子供たちは予想以上に真剣に話を聞きだす。

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みんなで生地を足で踏んだり、機械を使って麺を切ったりも体験する。

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打ちたてのうどんは、日本人の大人にとっても魅力的なメニュー。

麺つゆ以外に、ネギ、しょうが、揚げた玉ねぎ、海苔、ワカメ、七味なども準備されている。

子供たちが最初に茹で上がったうどんを食べ始める。

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外国人女子も頑張って箸を使おうとするがうまくいかず、日本人がやり方を教えてあげたり。

麺つゆがなじみがないので勧めても嫌がり、トマトソースのつゆを使う子も多い。

まあ、打ち立てパスタみたいなものか。

みんな喜んで食べてくれているみたいで良かった。

温かい麺と、冷たい麺が交互に出てきて、日本人は「やっぱりこしが違うね」なんて言いながら味わう。

(パーティーの様子は、谷村うどんのblogでも紹介されている)

http://zettodayo.hatenablog.com/entry/2018/11/05/171713

 

 

どんどん出てくる麺に、お腹もいっぱいになり、子供たちはそのうちに、ベランダに行ったり、ほかの部屋に行ったり、自由に遊びだす。

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ムスメも女子に交じり、日本人の大人に通訳もしてもらいながら、楽しそうに過ごす。

 

特別に声をかけて来てもらった、パレスチナ人と日本人のハーフの女の子に誕生ケーキを運んできてもらう。

だれかが4,3,2,1と合図を出し、ハッピバースデー~と歌いだす。カップケーキの形や9と書かれたろうそくに点いた火をムスメが勢いよく吹き消す。

拍手。そしてみんなでケーキを食べる。

そうこうしているうちにお約束の3時半。

あわてて準備して、お別れ。

アパートの下に降り、迎えに来た親に引き渡し、お誕生会無事終了。

 

あとは、残った日本人でゆっくり、まったり、お酒などを飲み、うどんやつまみを食べながら過ごす。

ムスメはたくさんのプレゼントと、楽しく過ごせたことで、満足。

一時はどうなることかと思った誕生パーティはこうして無事終了。

ムスメがフル参加でき、楽しそうで何より。

疲れたけど、大満足。

その晩は、うどんの谷村さんも我が家にお泊り。

 

そして、土曜には、日本シリーズ観戦第2弾。

すでにソフトバンクが3勝し、カープは崖っぷち。

それまで一進一退の攻防で緊迫したゲームが続いていたが、その日は全く打てず完敗。

結局、今年もカープの日本一は実現せず。

こちらは残念な結果に、

そして、お気に入りの新井選手は引退。

ムスコの今年の楽しみが終わってしまった。

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結局その後の土日もムスメの熱が続いたけど、薬を飲み、たくさん寝て、少しづつ良くなっていった。

そして、翌週の月曜から、ムスメは元気にまた学校に通いだした。

ムスメを送りだしたあとの学校の景色が、なんだかすがすがしい。

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思いっきり熱を出し、心配していた誕生パーティで、声をかけたみんなに来てもらい、たくさんのプレゼントをもらい、無事やり切ったことで、ムスメ自身が何か一山超えたような感じがする。

別に急に英語ができるようになったわけではないので、相変わらず何を言っているねか分からない状況は続き、これからも気持ちの波はあるだろうけどね。

まあ、焦らずにやっていこうと思う。