エルサレムで主夫はじめました

~~~~~~~~ 30年間のサラリーマン生活から早期退職をして、イスラエルのエルサレムに家族で住み、主夫をはじめました。 ~~~~~~~~~~~~~~インターナショナルスクールに通う子供たちの様子、イスラエルとパレスチナの日常、主夫の心境などをつづります。 内藤 徹~~~~~

【コラム】写真で紹介:バンクシーの「世界一眺めの悪いホテル」と博物館@ベツレヘム

「世界一眺めの悪いホテル」は、エルサレムから車で約30分ほど。ベツレヘムの検問所からは徒歩で15分ほどの所にある。

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客室やカフェから見えるのは、イスラエルが2002年以降に作った高さ8mの分離壁と監視塔。

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ホテル近くの壁には、バンクシーによる「天使が分離壁をこじ開けている作品」がある。

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付近は分離壁で覆われ、その壁面には様々なアーティストから一般人までが書いたアートで埋め尽くされている。

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 ホテル併設のショップで道具を借りて、壁に絵を描いている人もいたりする。

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「世界一眺めの悪いホテル」の中に入ると、メッセージ性のある作品が並ぶピアノバーがある。

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一面に監視カメラが並んだ壁の脇で、自動演奏のピアノの音が流れている。ちなみに、ここは良心的な価格で、食事も美味しくておススメ。

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2019年のクリスマスシーズンに新たに公開された、分離壁の前でイエスが生誕する作品も展示されている。

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そして、ピアノバーの奥には、パレスチナのおかれた現状を分かりやすく説明したコンパクトな博物館がある。入場料は15シェケル(約450円)。

最初の部屋には、イスラエルパレスチナを分断する分離壁、検問所、入植地、そこに住む居住者用に作られた道路などに関する説明がある。

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パレスチナ人のIDが、イスラエルに住み国籍を持つ人、東エルサレムに住む人、ヨルダン川西岸に住む人、ガザに住む人の4種類あることが、実物で説明されている。

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催涙弾、ゴム弾、弾薬などの武器や、手錠などが展示されている。説明には、パレスチナ人がイスラエル兵によってとらえられ、拷問されたことなどが書かれている。

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ヨルダン川西岸や、東エルサレムでは、今でもイスラエルによる入植のため、パレスチナ人が不当に家を追い出され、建物が取り壊されている。

「もしあなたが30分後に家を取り壊されることになったら、何をカバンに入れて持っていきますか?」

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パレスチナ人の自治区内に作られたイスラエルの入植地の水道管(上)が、パレスチナ人の水道管(下)よりも数倍も太いことが実物から分かる。

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10分ほどの映像で、1948年のイスラエル建国以降、何がこの地で起きてきたのかを分かりやすく説明するオリジナル映像が流れている。

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パレスチナ人ジャーナリストが撮影した、イスラエル兵がパレスチナ人に行った様々なシーンを撮影した生生しい映像も流れている。本人の家にイスラエル兵がやってきて尋問されている様子も撮られている。

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2014年のガザの戦争では、パレスチナ側の死者2,202人に対して、イスラエル側の死者が73人と、30倍もの差がある。

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部屋に置かれた電話が鳴っていて、受話器を取るとアナウンスが流れる。

「これはイスラエル軍からの電話だ。これからお前の家を破壊する。出ていけ。ロケット弾が来るまであと5分だ。」

これは、今ガザで起きている現実のこと。

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こじんまりとした博物館だが、丁寧に見ると、パレスチナ側がイスラエル占領政策によりどのような苦しみを受けているかが理解できる。

バンクシーの作品と合わせて、是非訪問してほしい場所である。