エルサレムで主夫はじめました

~~~~~~~~ 30年間のサラリーマン生活から早期退職をして、イスラエルのエルサレムに家族で住み、主夫をはじめました。 ~~~~~~~~~~~~~~インターナショナルスクールに通う子供たちの様子、イスラエルとパレスチナの日常、主夫の心境などをつづります。 内藤 徹~~~~~

#41 日本に戻って半年、もうすっかり受験モード

ムスコの高校選びなんて、本人がするものだと思っていたけど、とんでもない。前からずっとやっていて、主だった学校は決まってきたけど、滑り止めも含め、ここ数日で受ける学校を全部決めちゃおうとすると、なかなか決まらない。ムスコと二人で、ネットで調べて、パンフ取り寄せて、オンライン説明会見て、あーだのこーだの話し、結局リストをExcel表で作りはじめた。

今どきの高校受験は併願校制度という、これだけの内申があれば第2志望にしてくれたら入ることを保証しますよ、という仕組みがあって、そんなにたくさん受けなくても安心みたい。だけど、帰国子女の場合にはちょっと事情が違う。帰国生受験と言う別枠の受験機会があり、英語のウェイトが高かったり、数国が簡単だったり、帰国生向けの受験ができる学校が結構ある。うちもこれ狙いなんだけど、こちらは併願っていう制度が使えない。だから、いくつでも受験できて、その中から受かったところに行くパターン。知らない学校でも、実はここ良いんじゃない、みたいなケースもあり、調べていくうちにどんどんリストが長くなっていく。

今は学校見学もできないので、オンラインの説明会を見たり、口コミサイトを見たりしてイメージを持つしかなく、なかなか「ここが行きたい!」、という直感的決め手を本人も持てない。だから、HPの内容みて、場所やら、合格実績を見て、さらに口コミサイトで在校生のコメントなんかも読んでいろいろ想像して考える。で、良さそうなら、リストに受験日やら、受験科目やら、入学金の払い込み月やら、書類締切りやらを書き込んでいく。そして、長いリストから優先する学校を選び、パズルのようにスケジュールを組んでみて、とりあえず7校を受験候補校として完成させる。で、帰国子女向けの塾の先生に相談すると、パンフレットやネット情報ではわからない情報を伝えられ、また選び直したり。「一般受験でも、英語は活かせるし、選択肢も増えますよ」、なんて言われて、ムスコもあらためて調べだすと、さらに混迷を極め。もはや複雑な情報戦の様相。

 

そもそも僕は、中学受験をして中高一貫校に行き、その学校はとても好きだったけど、一方で、小学校時代に塾に通い詰めたことには、自分でも失ったものが大きいと思っていた。で、中学でまた塾に入れようとした母親に抵抗して、そのまま高校3年になるので塾には行かなかった。宮崎の田舎で過ごした妻も、中学受験なんて何?って感じだったので、我が家は、中学受験はほぼ考えもしなかったし、子供2人ともこれまで塾には全く入れたことがなかった。海外に行っちゃったから、それはそれでよかったけど、今になって、この受験という制度に、親としても向き合わされている。

今の時代、どの大学に行くかじゃないよ、と思ったり、でもやっぱりまわりの仲間の知的レベルや向上心は大事だよなと思ったり。大学まで行ける附属校を選ぼうとする息子に、今自分の大学まで規定することないじゃん、もっと可能性を広げたら、と言ってみたり。でも附属校じゃないところは、塾のように学校で受験を意識した授業をやっていて、それもどうかと思ったり。そんな感じで、親としても言うことがぶれまくり。日本の教育はこうあるべきだよね、なんていう理想を偉そうに話したり書いたりもしてきたけど、子供の受験に向き合うと、今の現状の中での現実的な方針を考えさせられることになる。

 

高校の最近のトレンドは、女子校が共学化するのに合わせて、グローバル、アクティブラーニング、ITあたりを売りに模様替えして、パンフレットでも宣伝していること。それは、良い流れだなあと思って塾の先生に話すと、実態はどこまでかという話もあり、結局高校選びは大学の進学実績で見るのが王道ですよ、なんて言われたり。いつからなのか、多くの高校が、一つの学校の中に複数のコースを作り、それぞれ違う生徒を集めている。そして、多いのが、特進とかと言うコース名でできる子を集めて、受験勉強をがっつりさせて大学進学実績をあげようとするパターン。そんな実態が見えてきて、じゃあ適度な受験実績と、これからの教育を大事にした実態ある学校はないのか、とまた探し始めたりと。

いっそ、最近注目の通信制の革新的な学校はどうよ、とあらためてN校、Z校、ルークス、インフィニティなんて学校のHPを覗いてみたり。まあ、ムスコ自身は学校という場に行き、仲間と集うのが好きで、エルサレム時代にできなかったそういう時間を持つことが優先順位の上にあるみたい。だから、男女比とか、高校から入る生徒の割合とか、クラス編成がどうなるかとか、そんなことがとても気になるみたいで。ので、通信はないよな、と思ったり。

 

一方、ムスメも、周りの友達が塾に行ってる子が多く、放課後に遊ぶ友達も少なくなっていて。いよいよ、塾に行きたいと言いだした。帰国子女受験して、せっかくの英語を活かすのもいいなあと思い、塾探しを始めたけど、友達がいく有名受験塾に体験で行き、撃沈。難しいし、休み時間は短くて友達と話せないし、宿題も多いしと。で、じゃあ英語からやるかと考えなおし、帰国子女向けの英語塾に行ったけど、あまりにレベルが高く、これも撃沈。

そもそも、勉強が楽しい、という感覚はどうやったら持てるんだろう?本当は探求学習とかやらせたいんだけどなあ、と思ったり。ムスメはニュースに関心があり、コロナのことや、アメリカの選挙やらにやたらコメントをしてくる。そこら辺に、ちょっとヒントがあるかもと思ったり。何か、子供の学びに火をつけるようなきっかけがあるといいし、せっかくの英語と興味を伸ばせる中学に入れたいなあ、と思う。しかし、これまた帰国子女受験の学校に話を聞きに行くと、「中学受験も、帰国子女受験は早くて11月が勝負。5年生も、もうあと一年。早くしないとですよ。」なんて言われて、ひー、という感じ。

いろいろふらふら試行錯誤しつつも、今は、子供二人の受験の道筋をつけることが大事。こんなこと、中学受験した共働き家庭は仕事をしながらやっていたのか、と今になって思う。これは大変。ムスコの学校が決まったら、今度は書類集め。エルサレムの学校から必要な書類をもらって日本に送ってもらったり。書類の種類も提出方法もバラバラで、間違いなく期日にそろえて出すのも大仕事。そう、これはもはや仕事。