毎朝6時過ぎに目覚ましが鳴り、だいたい一番に起きる。
まずスマホを確認したあと、朝ご飯何にしようか考える。
やたらと日本食を食べたがる家族に、日本からの食材を最低限に工夫して使って作るのが、ここしばらくの傾向。
アジア食材店で買ったミソやワカメに、マーケットで買ったオクラ、キャベツ、ナス、玉ねぎ、じゃがいもあたりを入れ、日本から持ってきたダシで作るみそ汁がお決まりのメニュー。
そして、炊飯器がまだなかったので、鍋で炊いた日本人おススメのサンフラワーという米のパサパサしたご飯。
子どは日本に帰る人からゆずってもらった柚子コショウふりかけが好き。
大人は、ロシア人向け商店で買った魚のオイル漬けのビンづめが、お手頃値段でお気に入り。
妻が起きてきて、ムスメが起きる。
いつも最後まで起きないムスコを文字通り叩き起こし、急かしながら朝食と出かける準備。
こちらの学校は休み時間にスナックを持っていけるので、オレオやらキットカットやら買いためたものを持たせる。
妻が出かけたあと、7時半に子ども2人と一緒に学校に行く。
歩いて10分の幹線道路一本道。
治安は問題ないけど、歩道が狭く滑りがちで、車も渋滞していて交通事故は心配。
いつもギリギリで走ったりしながら学校に到着。
同じ敷地に幼稚園から高校まであり、親と一緒の子もいれば、一人で来る子もいる。
中学のムスコは1人でクラスに行き、席につく。
小学のムスメは教室のところまで毎日僕と一緒に行く。
7時45分になると先生が笛を吹き、外で遊んでた子どもが一斉に動きを止める。そして、先生に促されて教室の前に並んで1人づつ教室に入る。
ムスメは、連絡用袋と水筒とポケット翻訳機を持って教室に入る。
翻訳機は自分が使うまではまだいかず、先生が大事な時に使って教えてくれるらしい。
教室に入るまでを見送って、学校を出る。
2日に一回は、そのまま買い物に。
マーケットに行き、早くから開けている店で野菜を買う。
魚は日本人おススメの店で一度買ったが、分厚いサーモン3切れで1800円もして以来、よく分からず買っていない。
肉は普通のマーケットで売っているのは牛か鳥だが、大きなかたまりがほとんどで、切ってもらったりもよく分からずあまり買う気にならない。
で、だいたいお気に入りのロシア人向けのお店に寄る。
豚肉とベーコンやハムなどの豊富な加工肉を、英語が通じない中で身振りも交えつつスライスしてもらったりして買う。
家に帰ると、まだ朝の9時ごろ。
朝ご飯の子どもの残りを食べながら、洗濯機をまわしたりして、あー、これってまるで自分の母親がやってきたことを同じようにやってるんだなぁ、などと思う。
時間の使い方も食べ物も子ども優先で、いまだに買い物エリア以外の観光地にも行ってないし、もうすぐ1か月たつのに、こちらのご飯を外食することもほとんどない。
好きなコーヒーを家で飲むのが、ほっと自分を取り戻す時間という感じ。
その場で挽いてくれるYou Need Coffeeという近所のお店があってうれしい。
そして、主夫の特権である昼寝をしたりもする。
寝るのが最後になったり、夜中に目覚めてそのまま起きていることも多いし、外も暑いせいか昼にぐったりすることも多く、いつでも寝られる身分を堪能する。
来たばかりの頃は、地図を片手に歩き回って、パンやら、お菓子やら、飲み物やら、試しにいろいろ買っていたが、最近はアパート探しや車探しをやっている。
アパートは、紹介された業者や飛込みで入ったところから紹介の電話を待ち、連絡が入ったら見せてもらう。15軒ほど見て、良い物件が見つかった。
車は妻が外交ナンバーの車を買える立場で、外交ナンバーの中古車を扱う業者や、帰国予定の国連関係者と待ち合わせをして見せてもらう。
そんなことをしているとすぐに学校の迎えの時間になってしまう。月から木は2時半、金は12時50分がお迎えタイム。
校内の待ち合わせ場所に行くと、毎日ムスメが自分を探してキョロキョロしていて、自分を見つけると嬉しそうに手を振ってくる。
まだ英語がほとんど分からないので、親に会い、帰れるのが嬉しいみたい。
保育園時代に戻ったようで、このお迎えの時間は僕にとっても好きな時間。
ムスコは、いつも同じクラスの日本人の子と一緒で、食べ物の売店でだいたい合流する。
お決まりのように毎日150円のコーヒー味やレモネード味のフローズンドリンクを買い、一緒に飲みながら4人で帰る。
ちょっと回り道をすればエルサレムの中心の通りがあり、いろいろ見せたいが、もー疲れた、暑い、早く帰りたいよお、というムスメに促され、大体はそのまま家に帰ることになる。
家ではムスコは日本の友だちとLINE電話、LINE、サッカーゲーム、YouTube。ムスメは着せ替えゲーム、YouTubeでアニメやユーチューバー、音楽とダンスなどを見たりやったり。それぞれ自分の世界に入っていく。
学校に行くだけでぐったりだったから、最初のうちは自由にやらせていたが、最近は宿題がでるので、5時半ごろから勉強タイムを設けている。
でも、なかなか始まらないし、時間も30分も続かないぐらいで、全然軌道に乗らない。
そして7時半ぐらいに帰る妻にあわせて夕飯を作る。
米かラーメンかパスタか。和風か洋風か。トマト系かクリーム系か。肉はあるか。野菜は何があるか。そんな中で、毎回思いつきで作る。
気分転換ではじめた家族での大富豪がムスメは大のお気に入り。毎日のように夕飯後に勝負している。
お風呂は、バスタブがあるので泡泡にしたり、湯船にお湯をためたりしながら順番に入る。
そうこうしてると10時過ぎ。なかなか寝ない子供らを急かして寝かし、一緒に寝たりしなければ、そこからまた自分の時間。
最初の1か月、airbnbで予約した日本でいう1LDKのアパートで過ごした主夫の一日はこんな感じ。
主夫をやってきて、専業主婦の気持ちが少し分かってきた気がする。
というか、専業主婦的な感情と言動にだんだんなってきた。
「家のことはあたしが一番分かっているのよね。食べ物の管理も、子どもたちの時間の管理も、あたしが全体を考えてやっているの。だから、主人には勝手に食べ物を使ったり、予定を変えないでほしいわけよ。
前に、次の日の朝食べるつもりのハムを夕飯途中に勝手に料理し始めたときはイラっとしたし、この間、日本人が遊びに来たとき、急に台所に立って、大事にしていた日本からのそうめんをあまらすほどゆでた時は、呆然としちゃったわ。
そういうの、お宅ははないかしら?
なんか、仕事していた時と違って、自分がやったことを見てくれている人が他にいないのよね。
だから、頑張ってやったことは、ちゅんと分かってほしいのよ。
それなのに、やっていないことだけを指摘されたりすると不愉快になるのよね。
これとこれやったんだから、そこ褒めてよね、って思っちゃう。」
共働き時代は、夫婦とも家事も子育てもしていたから、方針や考えが違うことはいろいろあった。
けど、お互い、まあしょうがないよね、と思っていたんだと思う。
今は、明らかに自分の方が家事も子育てもやっているので、こっちの方針、ペースにあわせてよ、って思う。
あなたにはあなたの職場の仕事があるでしょ。
こっちはこの家が職場で、あたしのやり方があるの、って感じ。
きっとメンツとかプライドもあるんだと思う。「専業しゅふ」のプライド。
当分は夫婦感で新しい立場での調整期間が必要な感じ。
僕にとっては、エルサレムに来たことより、サラリーマン生活を辞め、専業主夫になったことの方が人生上大きなこと。はじめての経験だし。
海外にいるだけ、喪失感も少ないし、立ち上げは忙しいから違和感も少ない。
なんでエルサレムに来たの?と聞かれ、妻の仕事で家族で来た、私はハウスハズバンドです、と言うと、おめでとう!ラッキーね!とか言われる。
この間、大使館に出す在留届の職業欄に専業主夫って書いたときは、なんか不思議な気分だった。
専業主夫になり、ここでいろいろ書いたことで、NYに住む同じ専業主夫と知り合にになった。
さらには秘密結社 主夫の友なる日本人主夫ネットワークのエルサレム支局長にも就任した。
ちなみに、肩書は自己申告制。
今、名刺を作ったら肩書きは「専業主夫、秘密結社 主夫の友 エルサレム支局長」と書くことになる。
こんなことになるとは想像してもいなかったが、今のところ楽しくやっている。
なんと言っても、ストレスが少ないよね。通勤、職場での上と下への気づかいなど。
でも、しばらくすると達成感の少なさが物足りなくなるのかも。
子育ては、目に見える成果がなかなかないし。
頑張ったからって結果がでる訳でもなく、またそこを頑張ることが良いともあまり思ってないし。
子どもたちが慣れるまでは、子ども第一だけど。
まあ、そのうち何かやるんじゃない、と何人もの人に言われたけど、当面はいろいろ起こる出来事に直面しながら、楽しんで暮らしていこうと
思ってる。
幸いこちらに来てから出会った人にも良くしてもらい、日本からもいろいろ面白い話がやってきて、日々楽しく過ごしている。
そんな感じです。