エルサレムで主夫はじめました

~~~~~~~~ 30年間のサラリーマン生活から早期退職をして、イスラエルのエルサレムに家族で住み、主夫をはじめました。 ~~~~~~~~~~~~~~インターナショナルスクールに通う子供たちの様子、イスラエルとパレスチナの日常、主夫の心境などをつづります。 内藤 徹~~~~~

#23 ラマッラにある古美術ギャラリーとイフタール

先日、我が家のマンションの駐車場の入口で、家具を車に運ぶため道を塞いでいる人がいた。聞くと、さっきムスコが会ったと話していたパレスチナ人だった。西エルサレムにあり、ユダヤ人正統派もいるうちのマンションにパレスチナ人がいることは考えられず、ムスコの話に、なんか間違いじゃない、とつい言ってしまったけど、どうも本当だったよう。こちらが日本人だと伝えると、「私はジャーナリストで東京新聞にも記事を書いたことある」と流ちょうな英語で話をする。で、今はヨルダン川西岸の中心地であるラマッラに夫婦で美術品のギャラリーをやっていて、今日はエルサレムで働く娘の上司の引っ越しで、家具を引き取りに来たらしい。

早速、これは親パレスチナで、古美術好きの妻に紹介するしかないなと思い、ちょうど金曜の休みで家にいるので、その女性を我が家に誘った。すると、パレスチナ事情から日本の着物や海外での買い付けの話などで、予想通り話が大いに盛り上がる。そして、嬉しいことにラマッラにあるギャラリーと自宅の食事に招かれた。今、イスラム教はラマダンの時期で、彼らは日中は飲まず食わず。そして、毎晩の断食明けにイフタールと呼ばれる夕食をしっかり食べる。その食事に招待してくれたわけだ。

で、日曜の夜、妻の仕事が終わると、家族でギャラリーを訪問。そのギャラリーが、宝の山のようなすごいところ。パレスチナだけでなく、中東各国や中央アジアから買いつけた調度品や生地、布製品、ドレスやジュエリーが所狭しと並ぶ。

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このバッグは、タシケントの刺繍で、とか、これはオマーンのもので、とか。彼女自身もドレスやジュエリーのデザインをやっていて、山とある商品の一つ一つに、このデザインは、この刺繍は、買い付けた時の値段は、と説明をしてくれる。とてもエネルギッシュで、断食しているとは思えないぐらい。

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パレスチナ刺繍のドレスも、いろんな種類の刺繍、いろんな服のデザインがあって、選ぶのも楽しい。いろいろ勧められるがままに試し、妻は黒い生地に刺繍が映えるノースリーブのワンピースをお買い上げ。僕は、様々なパレスチナの地域の刺繍がパッチワークされた、ひときわ目立つ極彩色のクッションカバーをお買い上げ。

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ここはイスラエルに住む人や、旅行者にも超オススメ。

https://m.facebook.com/zainabgallery/

 

で、その後、7時半過ぎの日没にあわせて、車で自宅に向かう。驚くほど立派な家。こちらの調度品もただならぬものばかり。どうやらパレスチナでも裕福で、インテリな一家のようだ。旦那さん、87歳のお母さん、大人になった娘と息子も待っていた。みな、断食でお腹がペコペコ。ギャラリーで時間をとりすぎて到着が遅れたせいか、もう待ちきれない感じで、ばらばらと食事開始。まずは、鶏のダシっぽい味が美味で、スーパーフードのフリーケと呼ばれる青麦が入ったスープ。そして、フレッシュな青菜のシンプルなサラダと、ゴマペーストのタヒーナが混ざったサラダ。

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そしてメインはヨルダン川西岸の特に北部で食べられるチキンの料理をいただいた。どれも美味しい。

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ムスコと作っていったツナとカニカマの巻き寿司も、醤油とわさびを付けて喜んで食べてくれた。


旦那さんはもともと国際機関に勤めていて、中東地域をいろいろ仕事で周っていたらしい。子供のころから美術品が好きで、今の仕事のつながっているらしい。娘はエルサレムの国際機関で働いている。高齢のおばあちゃんのことを気遣っている優しくで賢い女性の印象。息子はスマートな好青年で、事業でなんとショーに出す馬を育てているらしい。

馬を見に行く?と家の裏に連れていかれると、建物の中にきれいに手入れされた白馬が一頭。

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普通、馬の近くに行くとにおいがすごいのに、手入れが行き届いているせいか、全然においがしない。近くで見ると、愛くるしい目をしていて、息子が頬のあたりをなぜると嬉しそうにしている。たまらず僕も首のあたりをなでてみると、とっても滑らかな毛と、張りのある皮膚がとても気持ちいい。馬の様子も、まんざらではなさそうなので、調子に乗ってなでまくる。かわいい。実は、今妊娠していて臨月状態で、今夜か明日ぐらいに産まれそう、とのこと。そして、秋には子供の馬のショーがあるので見においで、と誘われる。

その後は、みなでお気に入りの歌手の映像をYouTubeで見せあおうという話になる。そして、うちのムスメの好きな韓国のTwiceやら、旦那さんの好きなエジプトの古い歌手の映像を見たり。87歳のおばあちゃんは、映画にもなったガザ出身のアイドル歌手がお気に入り。まるで、うちの母の氷川きよし好きみたい。娘の作ったクルミと蜂蜜の入ったイフタールに食べる伝統的なデザートも、紅茶と一緒に美味しくいただく。

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エネルギッシュな女性はずっと話続け、遅くなってもなかなか帰らせてもらえず。そんな感じで、とっても楽しい夜の時間を過ごさせてもらった。