エルサレムで主夫はじめました

~~~~~~~~ 30年間のサラリーマン生活から早期退職をして、イスラエルのエルサレムに家族で住み、主夫をはじめました。 ~~~~~~~~~~~~~~インターナショナルスクールに通う子供たちの様子、イスラエルとパレスチナの日常、主夫の心境などをつづります。 内藤 徹~~~~~

# 11 ムスメを気にしてパレスチナ人とクラスメイトが家に呼んでくれた

ムスメが学校に行けなくなったと書いたことで、いろんな方から連絡をもらい、アドバイスや体験談などを聞かせてもらった。また、こちらに来て出会った方にも、いろいろ声をかけてもらった。

しっかり向き合い、寄り添うこと、本人の気持ちを大事にすること、数か月スパンで考えたほうがいいこと、行かせようとしないで行く気になるまで待つこと、といったことが大事だな、とアドバイスを受けて思った。

海外暮らしで同じような体験をしている人は思った以上にたくさんいるし、日本でも学校に行かずに過ごす子供を持つ親も多いことをあらためて認識。

そして、考えてみたら日本にいる外国から来た家族の子供も、きっと同じように日本の学校になじめずに悩んでいるはず。

 

1020日。

妻のつながりで一度日本の我が家にも来たことのあるパレスチナ人の家族も、気にかけてくれて、自宅に招待してくれた。

ヨルダン川西岸に自分たちだけで行くのは初めて。

今回は、パレスチナ側にそのまま入れるアラブ人ドライバーのタクシーに乗って、そのまま同じ車で検問を通って行った。

 

もともと難民キャンプに住んでいた夫婦がお金をためて買った立派な一軒家。

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3人娘の上の子はムスメとも歳が近く、家に着くなりいろいろ案内してくれる。

末っ子はまだ小さくベッドで寝ている。お姉さん夫婦といとこの女の子も遊びに来ている。

 

子供の写真が飾られ、アラブのニュースが流れるTVのあるリビング。

キッチンでは、大きな鍋でパレスチナの料理の準備をしている。

寝室には、なんとキティちゃんのベッドカバーがかけられている。

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そして庭にはニワトリやカモを飼っている。

 

「子犬が産まれたの。見に行こう!」と、手をつないで連れていかれる。

人が食べるのと同じようなおししそうなご飯を食べる子犬たち。

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突然、羊の群れを引き連れるおじさんが通ったり。

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積極的でフレンドリーなパレスチナの女の子と、かわいい動物たちに、ふさぎがちだったムスメにも笑みがこぼれる。

 

近所を一緒に回ると、日本人が珍しいので声をかけられ、うちにも寄っていけと声をかけられ、別のお宅でお茶を飲んでお話したり。

とってもとってもまったりした時間が流れる。

 

家に戻ると、ご飯が出来上がる。

鶏肉、トマト、ナスが入った特大の炊き込みご飯。

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ぶどうの葉っぱでご飯とひき肉をまいたちょっと酸っぱいの。

そしてズッキーニにご飯とひき肉を詰めたの。

 

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ザ定番のパレスチナの家庭料理をたっぷり用意してくれる。

座れ座れ、食べろ食べろ、とたくさん盛られて、大人も子供もむしゃむしゃ食べる。

食べてお皿の料理が減ってくると、わんこそばのように、また盛ってくる。

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またたく間にお腹がいっぱいになる。

子供らは早々にギブアップ。

2人ともお腹をさすって、うへーとなっている。

 

しばらくすると、外でお茶をしようと言われ、玄関わきに座っていると、大きな丸いチョコレートケーキと紙でできた金色のとんがり帽子が出てきた。

なんとムスメへのサプライズの誕生祝いだ!

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誕生日を覚えていてくれて、まだ10日も先なのにわざわざ準備をしていてくれた。

同じぐらいの年頃の娘をもつ女性として、学校になじめない話を聞いて、いろいろ心配し、考えてくれていたんだね。おかげでムスメもうれしそう。

そのやさしさに、ちょっとうるっとくる。

 

帰りに公園に寄って行くことになり、みんなで狭い車に乗り込んでいく。

運転する旦那さんが大きな音で音楽を流し、一番下の女の子がお母さんの膝の上でご機嫌に踊りだす。

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道の脇に壁に囲まれ監視塔が建てられた敷地が続く。

「これは何?」と聞くと「イスラエル側の入植地域だよ」と教えられる。

そんなものに負けるもんかと言わんばかりに、大音量のアラブミュージックが車中に鳴り響く。

子供たちの笑顔を囲んだ幸せな時間、かけがいのない時間が流れていく。

そして、たまたま写した写真を後から見たら,、監視塔に「JEWS DID 9.11 (9月11日のテロはユダヤ人がやった)」と落書きされていた。

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公園に着くと、思った以上のたくさんの遊具があり、子供たちが所狭しと遊んでいる。

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また、手を引っ張られて、ムスメが遊びに連れてかれる。

ここで出会ったばかりの子も、アジア人が珍しいせいもあり、ムスメの名前を連呼しながら一緒に遊んでくれる。ムスメも今日は笑顔が絶えない。

そして、ムスコはクールに写真を撮っている。

先が見えないような日々に明かりがさすような、本当にありがたい日だった。

呼んでくれたパレスチナの夫婦に感謝、感謝だった。

 

 

そして、翌週はムスメも月曜から学校に行きだし、一安心。

さらに、クラスで一番ムスメに声をかけてくれる、おてんばな女の子のお母さんから家に呼ばれて、1025日に遊びに行くことになった。

子供だけのはずが、一人だと言葉も分からず心配だからと、僕もついていくことに。

 

イギリス人とブラジル人の夫婦で、旦那さんはメディア関係の仕事をしている。場所はAbu Turと言う、エルサレムの中で国連機関などの駐在関係者が集まって住む素敵なエリア。旧市街が一望できる高台にあり、大きなバルコニーからの見晴らしが素晴らしい。

 

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我が家が中心部に近い新宿の徒歩圏にある高層マンションだとしたら、このあたりは成城などの高級住宅街のようなところかな。

 

一緒にパソコンゲームをやったり、絵をかいたり、お母さんが作るチーズ入りの焼き菓子を食べたり、近所の公園に遊びに行ったり。

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そのクラスメイトは、明るく無邪気で、見ているだけでこっちも楽しくなるような子。以前インドにいたこともあり、新しい環境で苦労した経験もあるから、新しい生徒のことも気にかけてくれるらしい。

いろんな経験が、人を強くしたり、優しくしたりするものなんだね。

 

ムスメは、クラスの子と学校以外で一緒に楽しく遊べたことが相当うれしかったらしく、日本の仲良しの友達と遊んでいた時ぐらい楽しかった、と話してきた。

少しでも学校での居心地が良くなるといいな。

 

ちょうどそのころ、「世界を旅するうどん屋の谷村うどん」の谷村さんと言う人が、エルサレムにやってくる、という情報が日本人グループから回ってきた。

tanimuraudon | TANIMURA UDON?

世界中を回り、手打ちうどんを作るところを見せ、一緒に作り、打ち立てを食べさせる

イベントをやっている人。

 

実は、1週間ほどでムスメの誕生日になるが、こちらでは誕生日にカップケーキをクラスメイト全員分作って学校で配ったり、クラスメイトを招待してパーティをしたりするのが習わし。

パーティはこちらでやるのは本格的なもので、ゲームなども準備しないとならないらしい。日本人はなかなかやるのは大変と言われ、カップケーキを配るだけにするつもりだった。

けど、クラスメイトと仲良くなることが何よりも大事な時期だしなあと思っていたら、ちょうどいいタイミングでうどん屋がやってくる。

そうだ、誕生日パーティをうどん打ちを見るイベントにしちゃえば、日本文化紹介にもなるし、一緒に日本人も誘って盛り上がりそう。

そう思いつき、急遽パーティをやることにした。

 

まずは、来週水曜のカップケーキ、そして金曜のパーティ。

なかなか忙しくなるぞ。

 

そんなタイミングで、実はもう一つ大事なイベントが我が家にやってきていた。

それは野球の日本シリーズ

親子で大好きな(ムスメを除く)広島カープの日本一がかかった試合が10月最後の週末から始まった。